「オモロイ」をどうやってつくる? — 武田昌大さん —

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「オモロイ」を期待されると少しパニックになります。こんにちは、UNDERBARプロモーターの中村です。
先日シェアビレッジの仕掛け人 武田昌大さんがUNDERBARを訪れ、「シェアビレッジから学ぶ 稼ぐ地域のつくりかた」というテーマでお話いただきたました(そのときのイベントレポートはこちら)。大変楽しいプレゼンテーションを披露してくださった武田さん。しかし、何故これだけインパクトのあるプロジェクトを形にできるのか?
その「秘訣」「プロデュース力」についてじっくりお話を伺いました。

kedama inc.代表取締役 武田昌大 氏
クラウドファンディングサイト「Makuake」を利用して5,717,000円と17,000人の「いいね!」を集め、2015年5月に「シェアビレッジ町村」を開村。「シェアビレッジ」の他に代表的なプロジェクトとして、こだわりの厳選米を産地直送するWEBサイト「torao.jp」を運営。

武田昌大さんインタビュー

武田さんはたくさんの「共感」を集め、斬新なアイデアを事業として形にされていますが、小さい頃からそういうタイプだったのですか?

私は北秋田市の出身。小さい頃から遊ぶものは遊具も何もない環境で育ってきたので、その辺にあるものでゼロから遊びを作っていたように思います。そのような意味で、都会よりも田舎で育ったほうが、「自分達で考えて自分達で作る」という力は身につくのかもしれません。

ただ、思い返してみると自分でも変わったなと思うのは大学で関西に行った時からです。関西人は「どうやったら相手を笑わせられるか」それを追求している気がします。普通に話していると「お前、オチないんかい!」って後ろから突っ込まれるんですよ。合コンでも全員自己紹介で爆笑をとっていく。いきなり乾杯の挨拶をふられ、爆笑を期待される。東北から関西に行った私にはもう地獄ですよ(笑)。それから「おもろいって何だ?」「予想外、意外性」をだして笑いをとるにはどうしたらいいのか?毎日お笑い見て落語見て、「逆転の発想」「拡大縮小」などなど徹底的に研究しました。それで脳内が変わっていきました。

確かに、武田さんのプレゼンテーションは笑いどころがたくさんあって、ものすごく面白かったです。

プレゼンはいつも誰にも負けないと思ってやってます。でも関西でやるプレゼンが一番気合が入りますね。面白いとすごく笑ってくれるんです。
プレゼンはエンターテイメント。聞いてくれる人が「聞いてよかったな」と思ってくれる、それこそがファンをつかむポイントだと思っています。年間何百とやっているので、どうやったら伝わるのか少しずつ工夫しています。広告、CM、落語や漫才をみたときには「これ使えるな」というのがあったら取り入れます。落語や漫才はすごいですよね、話だけであれだけ臨場感があって笑えるって。

プレゼンで意識しているポイントはありますか?

相手の感情の波を作ることを意識しています。それには2つポイントがあります。
1つ目は「はひふへほ」。
「はっ!」と驚かせ、「ひー」と引かせる、「ふふっ」と笑わせ、「へー」と納得させて、「ほっ」と安心させるんです。

2つ目は「ストーリーライン」です。
ハリウッド映画をたくさん見ていた時期があるのですが、ストーリーの展開が共通しているんです。「つかみ」があって、「ターニングポイント」があって、「悪いこと」が起こって、「良いこと」が起きる。それをプレゼンにも応用します。

面白いといえば、プレゼンの中ででてきたキーワードにもたくさん面白いものがありました。例えばシェアビレッジの年会費のことを「年貢」と呼んだり。

年会費という名前では「ときめかない」ですよね。違う言葉に言い換えたいなと思っていました。まだシェアビレッジという名前が決まっていない頃、ここ(シェアビレッジとなる古民家)に人が集まっているところを想像したんです。地元の人や外の人が交わったり、女子会が開催されたり・・・。単なる民宿じゃない、もっと開かれた空間にしたいと思ったときになんとなく「村」っぽいなぁと思いました。そこから「年貢」という言葉を思いつきました。都会の人のケータイに「そろそろ年貢(年会費)の納めどきですよ」というメールが来ることを想像して「これだ!」と思いました。「年貢」という名前がでてきてからは芋づる式にその他の名前「寄合」「里帰」「一揆」や「シェアビレッジ」などがでてきました。

ネーミングにはこだわっていますか?

相当こだわっています。プレゼンも同じですが、相手に伝わらないと意味がない。
「いいやすさ」「おもしろさ」「親しみやすさ」「意外性」「しゃれ」「かっこよさ」などを意識します。
関西で鍛えられた発想力で、これまでもいろいろな名前を考えてきました。例えば囲炉裏を囲んで婚活をするという企画に「ロリコン」と名づけたり(笑)。「ふふっ」と笑ってもらいたいですよね。

シェアビレッジという名前は、そんなに面白くないので余り気に入ってないのですが、全国、そして海外の人にも分かってもらいたいということで当たり前さ、分かりやすさを追求した名前に決めました。

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「torao.jp」は武田さん合わせて他に3人の農家さん、シェアビレッジ町村では武田さん合わせて5人の仲間と共に運営を行っておられます。一緒にプロジェクトを進めていく仲間をどうやって作っていったのですか?

漫画「ワンピース」でルフィーが海賊王になるという目標を立て、行く先々でルフィーの情熱に触れた人たちがどんどん仲間になっていきます。そんなイメージを持っています。こういう人に仲間になって欲しいというのを持っていて、あちこちに出かけてたくさんの人に会います。会ったらたくさんしゃべって、強い情熱を本気で語ります。

プレゼンもそうですが、本気だからこそ下調べ、準備も入念にします。「トラ男」の仲間は、こんな風に口説きました。
まず農業歴を訊ねると、5年とか8年とかって答えが返ってきます。次にその間どのくらい農業が変わったかを訊ね、その後にキラークエスチョン「5年後の農業はどうなっているか?」を訊ねます。すると1年先くらいのことは考えているけれども、5年先のことは分からないと答えが返ってきます。そこで事前に準備しておいた5年先の農業の予測を説明し、だから「トラ男」をやりたいのだという理由と情熱を語りました。
仲間とは意見の相違が出てくることは当然あります。そういう時は圧倒的なビジョンを見せてチームで一つの方向性を目指せるように修正していきます。後は「こっちの方が面白そう」と思わせたり、仲間を喜ばせるにはどうしたらいいか考えたりして、チームで最高のパフォーマンスを常に出せるように努力しています。

武田さんのプロジェクトはNHKのクローズアップ現代や、雑誌ソトコトで取り上げられたり、クラウドファンディングでは17,000もの「いいね!」を集めたりと世の中へのインパクトが強いですね。情報発信ということもかなり意識されていますか?

100社以上のメディアに出たことがあるのですが、ありがたいことに全て相手側から問合せをいただいているのです。私達のプロジェクトが、その人達が探しているところに引っかかってきているのだと思います。それは先程も申し上げましたが、プレゼンやネーミング、モノ作りひとつひとつにこだわってやっていることが繋がってくるのだと思います。とにかく「それって面白いの?」「かっこいいの?」「どうやったら喜んでもらえるの?」それしかいつも考えてないですし、尽きると思います。

インタビューを終えて

アンダーバーWebサイトのトップページに出しているキャッチコピーを一つ考えて欲しいとお願いをしたら5秒で面白いコピーが返ってきました。それというのも『「あ!」「んだ!」が生まれる場所アンダーバー』というもの。やられた~って思いました。この瞬発力と発想力、素晴らしいですね。機会があれば数年関西に「おもろい力」修行にいってみたいけれど、やはりちょっと怖い・・・。
どうやったら面白いのか、喜んでもらえるのか、その視点を追求していく姿勢には大変学びの多いインタビューとなりました。シェアビレッジの他にも計画進行中のプロジェクトがあるとのこと、今後の武田さんの動向から目が離せません。

■writer's profile

Yuki Nakamura

Yuki Nakamura

中村 雄季

埼玉県出身。大学を卒業後都内大手デジタルマーケティングエージェンシーでWEBディレクターとして勤務。2013年、自然に寄り添ったライフスタイル・社会経済の構築を実践するため山形県庄内地方へ移住。現在農家として遊佐町で70aの砂丘畑の耕作、及びFUN MORE DESIGNとしてWEBサイト構築・編集・ライティング等に従事。  http://funmoredesign.com  Instagram

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