兼業、副業、年俸制、テレワーク。一億総フリーランス社会

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昨年末の12月16日、アンダーバーで「テレワークを活用した山形での新しい働き方とは~ ローカル・イノベーション・セミナー Vol.7~」と題するイベントが開かれました。東北芸術工科大学デザイン工学部教授で日本テレワーク学会会長の松村茂さんをゲストに迎え、「テレワーク」についてお話を伺いました。本レポートでは、テレワークの具体的な事例を紹介しながら、地方での働き方を考えていきます。

テレワークとは

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テレワークとは「tele(離れて)work(働く)」という意味で、ICTを活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のことをいう。現在はネット環境が飛躍的に向上したことで、Web会議を活用するなどより快適に「テレワーク=離れて働く」ことが可能になっている。実際アンダーバーでもネットで繋いで頻繁に多拠点でのミーティングを行っている。

更に、「仕事の質」が変化してきていることもテレワークを後押ししているようだ。

“デスクワークの時代は終わった。今は頭で仕事をする時代であり個の時代。昔は「会議をする」、「書類を作る」といったことが「仕事」で生産量は仕事の時間に比例していた。今は違う。考える、発見する、調べる、繋げるといった頭で考える活動が「仕事」になり、生産量は仕事の成果に比例しない。

職場にいなくても仕事ができ、生産量よりも成果が重視される。成果を出すために最適な働き方を個人で選択できる時代に徐々になってきているのだ。実際に、大企業でもテレワーク(在宅ワーク/リモートワーク)を取り入れているニュースを目にするようになってきた。

地方振興の意味でのテレワーク

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地方では「魅力的な仕事がないから」と若者が都市部へ出て行ってしまうことが大きな課題だ。場所に捉われずに仕事ができるテレワークというスタイルは、若者を引き留める意味で地方振興の一策として有効に思える。ゲストスピーカーの松村さんは地方におけるテレワークの事例をいくつか紹介してくれた。

■総務省による「ふるさとテレワーク」事業

現在首相官邸では「働き方改革実現会議」を設置し、一億総活躍社会実現というキャッチフレーズで、多様な働き方ができる社会づくりを進めている。その文脈で、総務省が「ふるさとテレワーク」という事業を展開している。

” 「ふるさとテレワーク」とは、地方のサテライトオフィスやテレワークセンター等において都市部の仕事を行うテレワークのことであり、地方でも都市部と同じように働ける環境を実現するものです。 ”
(ふるさとテレワーク ポータルサイトより)

「ふるさとテレワーク」では、実証事業として全国数か所にICT技術を利用した施設を整備したり、地方移住者への支援をしている。近いところでは高畠町がこの事業に採択されている。この事業に採択された場所では、テレワークの拠点としてコワーキングスペースが整備されることも多いそうだ。

■徳島県美波町

海・山・川に囲まれた自然豊かな地域の徳島県美波町は、サーフィンをやりたい移住者が多く、IT企業も多く移転をしているという。整備された通信環境を活かしサテライトオフィスを誘致したり、クリエイターを養成し地域の会社に送り込んでいく総合的な移住促進のプログラムを用意していたりする。

▼美波町サテライトオフィスプロモーションサイト
http://minami-satelliteoffice.jp/
▼美波クリエイターズスクール
http://www.awae.co.jp/mcs_recruitment

■行政のテレワーク

市役所、県庁といった行政の現場でテレワークは取り入れられているのだろうか?
行政の中では佐賀県が進んでいるという。佐賀県庁では在宅勤務制度、サテライトオフィスの設置などテレワークを活用し、より効率的な業務遂行と、優秀な人材の確保を目指している。
また広島県庁では、オフィスのフリーアドレス制やWeb会議システムを導入するなど、進取的な取り組みをしている。

▼佐賀県庁の取り組み
http://www.iyoirc.jp/post_industrial/20150401-2/
▼広島県庁の取り組み
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/challenge-so-say/jirei-42.html

地方で柔軟な働き方を選べるようになるには?

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一方で周囲を見渡してみると、時間や場所に縛られない働き方ができているのはまだまだごく一部の人達に限られているように思える。それではどうしたら個人が自分に合った働き方をできるようになるのだろうか。

一つには、地方は下請け脱却を進めていく必要があるという。地方は下請けが多く工場での労働が多いが、工場はテレワークができないので、地方は柔軟な働き方が進みにくい。そういった意味で、下請けを脱却し、頭で考える仕事を増やしていくことが一つのポイントだそうだ。

また、当日のディスカッションの中で、「自律的に自分を管理する能力が必須」だという話がでてきた。時間・場所に縛られないということは、ともするといくらでも怠けられるし、自立した個人の判断がより重要にもなってくる。これまで上司=管理者に判断・監督を委ねていた部分を、自分自身でやっていかなければいけない。従業員というよりはフリーランスに近い働き方になるのかもしれない。(参考:「文系フリーランスって食べていけるの?」2027年、自由な働き方が浸透している社会へ

テレワークのステージとして現在はステージ1=大企業のテレワークが進んでいる段階だという。テレワークは働き手の形。今後それがさらに浸透していくと、兼業・副業が一般的になり、裁量労働制・年俸制になり一億総フリーランス社会のようになるかもしれない。そうなると多地域居住や移住も気軽に選択できる時代がくるだろう。楽しみな時代を我々は生きている。

車の自動運転の時代が来ると、移動が楽になり、移動中の仕事も可能になってくるため、さらに多地域居住や柔軟な働き方が進むだろうと松村さんは言います。大事なのは、個人が様々な選択肢の中から人生を選べること。そのためのICT技術でありテレワークなのだと思います。

■writer's profile

Yuki Nakamura

Yuki Nakamura

中村 雄季

埼玉県出身。大学を卒業後都内大手デジタルマーケティングエージェンシーでWEBディレクターとして勤務。2013年、自然に寄り添ったライフスタイル・社会経済の構築を実践するため山形県庄内地方へ移住。現在農家として遊佐町で70aの砂丘畑の耕作、及びFUN MORE DESIGNとしてWEBサイト構築・編集・ライティング等に従事。  http://funmoredesign.com  Instagram

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