地域活性のヒントがたくさん 【SHARE VILLAGE村長 武田昌大氏レポート】

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こんにちは、アンダーバープロモーターの中村です。
3月29日、UNDERBARでは「シェアビレッジ」村長 武田昌大氏(30)をお迎えし、「シェアビレッジから学ぶ 稼ぐ地域のつくりかた」というテーマで2時間たっぷりお話いただきました。今回はそのイベントレポート、そして武田さんの「プロデュース力の秘訣」について2本立てで記事をアップします。クラウドファンディングサイト「Makuake」を利用して5,717,000円と17,000人の「いいね!」を集め、2015年5月に「シェアビレッジ町村」を開村。日本全国の地域に元気をもたらしている武田さん。「シェアビレッジ」の他に代表的なプロジェクトとして、こだわりの厳選米を産地直送するWEBサイト「torao.jp」を運営されています。
プレゼンテーションがとにかく完成度が高くユーモアに富んでおもしろいっ!この空気感をレポートでお伝えしきれないのが残念ですが、地域活性のヒントがたくさんつめ込まれたレポートとなっておりますので、是非ご一読ください。

■SHARE VILLAGE
http://sharevillage.jp/

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■イケテナイ(行けてない)県日本一、秋田

こんにちは、kedama inc.代表取締役 武田昌大と申します。秋田県北秋田市の出身です。現在は1/3を秋田で、1/3を東京で、1/3をその他地方でという生活を送っています。北秋田市は人口34,000人、およそ酒田市の1/3という人口規模の自治体です。

さてそんな秋田県、実は日本一「イケテナイ」県なんです。
(「イケテナイ県=行ったことない県」というシャレに会場笑)
具体例を上げ始めると・・・
「Facebookユーザー数」ワースト1
「年間晴れ日数」ワースト1
「子供の数」ワースト1
「高齢うつ病患者数」ワースト1
「行ったことない県」ワースト1

でもいいところもあります。それは・・・
「米作付面積率」ナンバー1
「コメリ店舗数」ナンバー1
「睡眠時間」ナンバー1 などなど (会場笑)

私は社会人になるまでとにかく秋田が大嫌いでした。マクドナルドもない、コンビニもない、遊ぶところがない・・・
将来ゲームを作る仕事が夢だった私はゲーセンもない秋田になんか二度と帰るもんかと滋賀県の立命館大学に進学し、卒業後は東京のゲーム会社に従事。念願の夢だったゲームを作る仕事、刺激的で充実した毎日でした。

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■地域活性をはじめたターニングポイント

なんの不満もなく東京で暮らしていた私が、何故「地域活性」の仕事を始めたのか、その経緯をちょっとお話させてください。ある時東京から深夜バスで地元秋田に帰省しました。そしてバスから降り立って地元の風景を見た時に愕然としたんですね。国道沿いにポツンとたっているドラッグストアが一番賑わっている場所、シャッター街の商店街。
地元が死んでいる。
衝撃でした。
これはなんとかしたいと強く思いました。

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■秋田のことを知らない・・・

自分に何ができるのか。
考え始めたとき、自分は秋田のことを何も知らないことに気が付きました。調べてみるといいところがたくさんありました。そして大きな秋田県の強みとして私の中で浮上してきたのが、食料自給率174%、全国2位、「あきたこまち」という全国に名の通ったブランド米。しかし今は強みとなっている秋田県の農業も高齢化で壊滅が時間の問題。「これだ!自分は農業から秋田を元気にしていこう」と思いました。

■米を直送するWEBサイト「torao.jp」を立ち上げ

しかし農業といっても、私自身は農家出身でもなんでもなく、農家のことも何も知らない。そこで月〜金は普通に東京で働き、土日に秋田へ通い農家さんに話を聞くことを始めました。3ヶ月の間で合計18日、100人の農家さんに話を聞きました。100人に話を聞くといろいろな答えが返ってくるのかなと思っていましたが、意外にも皆さんの答えは共通していました。「やりがいは何ですか」と聞くと、数は少ないながらもお米を直接買ってくれるお客さんを皆さん持っておられ、そんなお客さんから「おめの作った米が一番うまい」「ありがとう」の声をもらうことだという。

課題も見えてきました。
1つ目が稼げていないということ。ヒアリングをした結果、農家さんの時給はいくらだったと思いますか?答えは179円。これだけ稼げなければ若い人は農家をやりたくないと思うのも当然です。
2つ目は流通です。お米を出荷すると、いろんな農家の米がみんな混ぜられてパッケージ化され売られていきます。どんなにこだわってうまいもん作っても混ぜられてしまう。「おめの作った米が一番うまい」と聞くことがやりがいなのに、それではやりがいを感じられない

そこで生産者とお客さん同士が顔の見える流通の仕組みを作るというソリューションを考え「trao.jp」を私と若い男前農家3人の計4人で26歳のときに立ち上げました。見てください、皆さん男前でしょ?

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■「トラクター×男前集団」トラ男

トラ男の農業は、うまい米を作るということの他に9つのポイントがあります。それは

  • 1 【純米】
    単一農家100%の米を純米と呼び、販売。
  • 2 【直販】
    torao.jpというWebサイトで購入可能。
  • 3 【卸売】
    飲食店でも食べられるよう、そのお店を紹介。
  • 4 【CSA】
    「toraofamily.com」にてお米とご飯のお供とストーリーをセットで定期購入。
  • 5 【SNS】
    facebookなどでお客様と交流
  • 6 【毎月イベント】
    薪と釜でご飯を炊くイベント、食べ比べイベントなどを定期開催。
  • 7 【コラボ】
    イオンや無印良品、高島屋などとコラボレーション企画を実施。
  • 8 【海外でも販売】
    下手なりの英語を駆使し海外でも販売イベントを開催しています。
  • 9 【メディア】
    雑誌、テレビ、新聞など各種メディアにも取り上げて頂く(ソトコト、クローズアップ現代など)

こうして活動をし「トラ男」も順調に売上を伸ばすことができました。しかしその当時、私はまだ会社員として仕事をしながら仕事後や週末を使ってのビジネス運営。メンバーから言われました。「今後どうするの?」「トラ男をやめられたら困る」。考えました。私がやりたい事は「秋田を元気にすること」。会社生活の傍ら「トラ男」を軌道にのせることはできたものの、「トラ男」だけでは「秋田」を元気にするというほどのことはまだできていない。やはり、「本気でやらなくては何も変わらない」と思いましたので、会社を辞め、完全に独立し、秋田を元気にすることに本気で取り組むことにしました。

■秋田を元気にするには?

5年間活動をしてきて思いました。秋田を元気にするには3段階ある。

  • 1) 知ってもらう
  • 2) 来てもらう
  • 3) 住んでもらう

「2) 来てもらう」まではなんとかできても「3) 住んでもらう」までにはなかなかたどり着かない。どうしたらいいのか考えた時に人が集えるリアルな場所が必要だと思いました。2014年くらいからそういった場所を作りたいと考え始めた矢先、五城目町で一件の茅葺きの古民家と出会いました。それが今の「シェアビレッジ町村」の古民家なのですが、一目惚れでした。なんと近々解体される予定だという。理由は2つ。まず維持費が高いということ。2つ目は住む人がいないということ。当時の所有者の老夫婦は別の場所に住んでおられ、たまに帰ってきては家の手入れをされているということ。このご夫婦にはもう負担が大きすぎて買い手がいなければ数カ月後に解体するという段取りが決まっていました。
「シェアビレッジ町村」に来て頂けると分かると思いますが、この家と地域には日本の原風景が残されています。動画をご覧ください。

なんだか泣けてくるこの動画。最後にでてくる茅葺の家はシェアビレッジ町村です。何気ない普通の光景なのかもしれません。そしてこの普通こそが日本の原風景だと思います。この当たり前がしかし、どれだけ日本に残されているのか、これから残っていくことができるのか。次の100年も日本の原風景を残す仕組みを作りたい。この古民家に出会った日、徹夜でシェアビレッジのアイデアをプレゼンテーションにまとめ、古民家のオーナー夫婦に話をしにいきました。ご夫婦は賛意を示してくれましたが、2つの条件を提示されました。まず古民家を買い取ること、そして古民家に住むことでした。こうしてSHARE VILLAGEプロジェクトがスタートしました。

■日本の原風景を残す仕組み「SHARE VILLAGE」

現在シェアビレッジ町村は私【村長】武田、【家主】丑田、【家守】半田、【御庭番】柳澤、【大名】松橋で運営を行っております。彼ら仲間達と様々にアイデアを磨きあげながら現在の姿となっています。まず民家から宿泊所にするのに400万円かかることが分かりました。その費用はクラウドファンディングサイト「Makuake」を利用して賄うことができました。862人もの方々から合計5,717,000円をいただきました。そしてこのクラウドファンディングではfacebookで17,000人もの方々から「いいね!」を集めることができ、SHARE VILLAGE開村前からたくさんの反響をいただきました。2014年春に古民家と出会い、SHARE VILLAGEのオープンは2015年5月。かなりのスピード感で進めることができたと感じています。

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SHARE VILLAGEは多くの人で1つの家を支える仕組みをもち、全国の消滅の危機にある古民家を村に見立てて再生、村に変えていきます。
SHARE VILLAGEの仕組みをご紹介します。

【年貢】
あなたが自分の村をもつ方法はいたってシンプル、一年に一回の年会費「年貢」3,000円を納めるだけです。村民になると自分の好きな時に自分の村へ行き、田舎体験をしたり、村民同士で楽しんだり、宿泊したり、のどかな環境で仕事したり、制作活動に浸ったり、、想像力の限りなんでもできます!

【寄合】
「せっかく村民になっても年に何回も田舎にいけないよ」という方のためにも村民だけが集まる定期開催飲み会「寄合(YORIAI)」を都市部で開催します。
会社でもなく、同級生でもなく、出身地も関係ない村民同士が気軽に仲良くなれる飲み会を行い、村について語り合います。

【里帰】
村民同士が仲良くなることで生まれるのが、「里帰(SATOGAERI)」です。仲良くなった村民同士で実際に自分たちの村に遊びに行きましょう!いつ行っても楽しめるように村では様々な企画をご用意します。

【一揆】
SHARE VILLAGEでは年に一回のお祭り「一揆」を開催します。多くの出店やアーティストによるライブ、全国から集まった村民や地元の方々入り混じって大いに楽しみます。

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2015年に開催した一揆の様子
シェアビレッジ町村を開村して一年になりますが、地域が少しずつ元気になってきているのを実感しています。現在全国43都道府県に1200人ほどの村民がいます。「一揆」ではたくさんの人が集まりますので当然シェアビレッジ町村の建物に全員が宿泊できるわけではありません。そこで地域のおうちに民泊をお願いさせていただきましたが、今では積極的に民泊を受け入れているお宅も!そしてあるときは、楽しく活動している村民の様子を感じていたのだと思いますが、近所のおばあちゃんが「年貢3,000円」と書いた封筒を握りしめ、「村民にしてくれー」って訪ねてきてくれたこともありました

現在は2村目「シェアビレッジ仁尾」を香川県にオープン予定。クラウドファンディングを展開中です。今後も全国にSHARE VILLAGEを作っていく予定です。村民になればどこのSHARE VILLAGEでも楽しんでいただけるのが面白いポイントでもあります。

日本の原風景を守っていくのがSHARE VILLAGEの使命。
さあ、あなたも年貢の納めどき!
ありがとうございました。

たくさんの驚きと笑いが起こった武田さんのお話を全ては伝えきれないながらもレポートとさせていただきました。全国の村民の方々が出かけやすいように、スタートは秋田県でしたが、今後全国に散らばるように分散させてSHARE VILLAGEをオープンさせていくそうで、隣県の我ら山形県にSHARE VILLAGEができるのはまだ先かもしれません。が、是非庄内にSHARE VILLAGE欲しいですね!
SHARE VILLAGEをはじめ様々なプロジェクトを手がけ全国を飛び回る武田さん。次回は「プロデュース力の秘訣」をテーマにお話を伺いましたので、また追ってUNDERBARコラムにアップいたしますのでお楽しみに。

■writer's profile

Yuki Nakamura

Yuki Nakamura

中村 雄季

埼玉県出身。大学を卒業後都内大手デジタルマーケティングエージェンシーでWEBディレクターとして勤務。2013年、自然に寄り添ったライフスタイル・社会経済の構築を実践するため山形県庄内地方へ移住。現在農家として遊佐町で70aの砂丘畑の耕作、及びFUN MORE DESIGNとしてWEBサイト構築・編集・ライティング等に従事。  http://funmoredesign.com  Instagram

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