稼ぐコワーキングスペースから学ぶ、”稼ぐ空間”の作り方

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アンダーバーの目玉イベントであるローカルイノベーションセミナー。11回目となる今回は、利益創出に悩む全国のコワーキングスペースを尻目に、圧倒的に支持され売り上げを伸ばす埼玉のコワーキングスペース”Office 7F”の運営者を招き、その秘密をあますことなく紹介してもらった。当日のイベントの様子をレポートでお届け。

つながりを生む空間

埼玉県大宮駅の東口から徒歩一分のビルにOffice 7Fはある。名前の由来は建物の7階に位置することから。2012年12月のオープン以来、朝7時~夜23時まで年中無休で営業。サービスの質を高めるためスタッフが常駐することにこだわる。200平米の広いフロアを持ち、月に2,500名もの人たちが利用。訪れる人は起業家やフリーランサー、IT企業の社員、学生、地域住民など様々。常に8割ほどの席が埋まり、満席になることもしばしばと賑わっているらしい。

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運営者の星野邦彦さんが7Fの活気を語ってくれた。

プログラマーとデザイナーが仕事のマッチングをしたり、デザイナー志望の子がプロに弟子入りしたりなんてことがよく起こっています。起業家が企業の役員や投資家にアイデアをプレゼンしていたこともありました。」

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ときには7Fを飛び出し、ビル前の大通りで数万人を動員するイベントを主催したことも。
一般的にコワーキングスペースは儲からないと言われている中で、なぜ7Fはこれだけ多くの人たちを引き付けることができるのか。稼ぐ空間を作るうえで重要なポイントを聞いた。

最重要は意外な”アレ”

立ち上げフェーズ、成長フェーズ、安定フェーズそれぞれにおいて、星野さんが特に力を入れた点がある。

【立ち上げフェーズ】

大宮にコワーキングスペースを新しく立ち上げるということを、日々SNSを使って情報発信していた星野さん。それが縁で現在7Fが入居するビルのオーナーと知り合い、駅前の好物件を良い条件で借りることができた。オープン直前には開店を聞きつけたとある企業から椅子や机を無償で譲り受ける幸運にも恵まれる。

「それから決済システムを早めに整えたことが一番大事。口座振替やクレジットカード決済ですね。そうすることで7Fへの所属意識が芽生えて、よく足を運んでくれるようになります。」

これは意外と盲点かもしれない。

【成長フェーズ】

7Fといえど開業当初はあまりにも人が来ず、おもしろ写真を撮影して時間をつぶす日もあったという。

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集客には近道があるわけもなく、SNSでの告知やイベント開催、看板の設置、他ブロガーからの記事拡散など王道の施策にしばらく心血を注いだ。

人が集まるようになってきたら、利用者の属性を絞り込むことも欠かせません。IT/起業系の人を呼びたいのか、それとも主婦層なのかでアプローチは変わります。7Fはおもに前者や地元の人たちなので、本棚にプログラミングやビジネスに関する書籍を置いたり、定期的に創業融資や確定申告の勉強会を開いたりすることでその層を呼び込みました。」

狙ったターゲットを呼び込み、集まったコワーカー同士でいい雰囲気のコミュニティを作り上げてもらうことに成功したようだ。

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【安定フェーズ】

集客がうまくいき稼働率が100%近くになると、経営者として値上げか規模拡大かの選択に迫られる。

「地元の人にも集まってもらいたかったので、単価を上げずに増床してソーシャルインパクトを高める方向に舵を切りました。下階を借り上げ、シェアオフィス(固定席)と貸会議室を備えた”6F”をオープンしました。」

この頃になるとすでに新規顧客よりリピーターの割合が多くなっている。利用者の満足度を高めるため、7Fの理念や信条を”クレド”として定めた。スタッフによる居心地のいい空間作りやクレドについて、7Fと6Fの店長を務める船底春希さんが代わりに語ってくれた。

7Fの顔

2015年から7Fで働き始めた船底さん。驚くことに大学生でありながら2ヵ月前から店長を任されている。7Fが大切にするミッション、ビジョン、コンセプト、行動規範を丁寧に説明してくれた。

「行動規範の中の”コミュニケートする”が圧倒的に大事。あらゆるトラブルはコミュニケート不足から起こります。契約関係から利用のルールにいたるまで。普段から心を開いて関係を築くようにしています。」

そう語る様はなんとも頼もしい。

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「前任の店長がすごい大好きなんです。ミスをして落ち込んでいたら、突然『ハッピーハロウィン♪』と言ってお菓子をプレゼントしてくれたんです。私が7Fを好きな理由はその店長がいたから。店長とはそういう存在であるべきなんじゃないかと思うんです。この人がいるから来たいと思ってもらえるような。

7F成功の秘訣はいろいろとあるだろうが、けっきょく船底さんのような”よき仲間”との出会いに勝るものはないかもしれない。
稼ぐコワーキングスペースから学んだポイントは、業種を問わず”稼ぐビジネス”を作るために活用できそうなことばかりだった。7Fについてもっと知りたくなった方は、大宮を訪ねてみてはいかがだろう。

■writer's profile

Hiroki Araki

Hiroki Araki

荒木 洋樹

アンダーバー「朝の顔」。コンシェルジュとして平日午前に勤務する。また東京ドーム4個分の広大な遊休地を借り受け、一つの街に変える「カルチャーシティ計画(仮)」ディレクターを務める。

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