【レポート後編】未来のあり方を考える!日本の高齢化と地域コミュニティの今後

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昨年末に開いたセミナー「変わりつつある地域の住民参加のスタイルと、地域コミュニティの可能性について ~ ローカル・イノベーション・セミナー Vol.8~」のレポート後編です(レポート前編はこちら)。レポートの前編では、日本の高齢化が早いスピードで進んでいること、高齢者世帯の構造が多様化・小家族化していることをデータと共に紹介いたしました。レポート後編では、地方集落活性化活動の具体的な事例を紹介いたします。

あきた型「元気ムラ」再生総合推進事業

急速な高齢化という社会変動に伴い、地方の過疎集落においてコミュニティ機能が低下してしまうことをレポートの前編で紹介した。この課題に対し、近年は行政が事業を積極的に展開しているという。その一つが『あきた型「元気ムラ」再生総合推進事業』という秋田県の事業だ。この事業は最終的には集落住民が自立して地域コミュニティ機能を維持していけるようにすることを目的としている。


■あきた型「元気ムラ」再生総合推進事業
高齢化等集落の自立と活性化を図るため、県民運動を推進するほか、新たな集落コミュニティーを担う地域協働組織等の活動を支援するとともに、小規模高齢化集落の詳細な実態調査や実証モデル実験を行うなど、総合的な集落対策を推進する。
http://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000003876_00/siryou1.pdf

秋田県旧雄勝町御屋敷集落

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『あきた型「元気ムラ」再生総合推進事業』で秋田大学教育文化学部 石沢真貴教授は、秋田県旧雄勝町御屋敷集落に調査に入ったそうだ。地域資源の調査・フィールドワーク、住民との座談会などを学生や行政職員らと共に行ったという。


■あきた元気ムラ!秋田県のがんばる農山漁村集落応援サイト
http://common3.pref.akita.lg.jp/genkimura/area/detail.html?cid=37&id=1365

“座談会を始めた頃は、集落について話し合いましょうと話しかけても、病院が遠くなって困っている、なんとかしてくれといったような行政への要望ばかりがでてくる。考えてみようという雰囲気にはならなかった。学生達もひいてしまい、どう話をしたらいいか分からない。

しかし何回かしぶとく座談会を開いているうちに、ある住民が上手に祭りの歌を歌ってくれた時があった。それをきっかけに俺も歌えるとみんな歌い出し、場の雰囲気が変わった。”

そして座談会や共同作業をしぶとく重ねるうちに、15〜16年前にやめてしまっていたお祭りを補助金を使って復活させようという話になったそうだ。

▼復活させたお祭りはこちら
http://common3.pref.akita.lg.jp/genkimura/village/detail.html?cid=39&vid=1&id=1375

一定の成果

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こうして2011年に復活したお祭りは、2016年の現在も継続して開催できている。

行政、NPO、学生ボランティア、地域おこし協力隊など外部のサポートが充実し、一定の成果に繋がった。「孫や子供が祭りのときに帰ってきてくれた。」「祭りの話をきっかけに自由に意見を交換しあえる空気ができた。」といった住民の言葉もあった。”

御屋敷集落の事例は、行政が一つきっかけを作り、住民同士が自分達で考え合意形成のプロセスがあって動いた良い事例だ。一方で石沢さんは課題も感じているという。

“「よそ者」の重要性は地域に新しい風を吹き込む存在として柳田國男などもいっていること。しかし集落に足りない人材、きっかけとしてのよそ者の関与があるのは良いが、よそ者に依存してしまう状況もあるのではないか。また、地元の若い世代の動きが見えなかったり、当事者がどういうことを考えているかわからず、よそ者が引っ掻き回しているのではという危惧もあった。”

継続できる仕組みづくり

確かに、行政や学生ボランティアが「よそ者」として継続して関わり続けてくれるのであれば良いが、助成金がなくなったりすることでそれがなくなってしまうのでは、持続できなくなってしまう。「よそ者」を継続的に取り込む仕組みづくりや、当事者が自発的に活動を継続できる仕組みづくりが必要とされる。

「よそ者」を継続的に取り込む仕組みづくりにおいて、コワーキングスペースが地域に存在することは有効だといえる。

以前アップした『日本中のコワーキングスペースを旅したら、「働き方の今と未来」が見えてきた』の記事の中で、神戸カフーツ主宰の伊藤さんは地方にコワーキングスペースがあることの意義をこう語っている。

” 地方都市にこそこれから先、単なる箱ではなくて、ローカル経済を駆動するエンジンが必要だと思ってます。ここに集まる人たちがお互いを補完し合って、ローカルでいろんな活動を起こしていく、一つの拠点になる。 ”

こうした場があることは、一度地域外に仕事を求めて出ていった若い人(一度よそ者になった人)が地域に帰ってくるきっかけにもなる。また地域の当事者が「よそ者」の視点を身につける場としてコワーキングスペースに出かけるのもいいだろう。

「ローカル経済を駆動するエンジン」として機能するような活発なコワーキングスペースを作るにはソフト面、ハード面含め多くのハードルを乗り越えなければならない。しかし、何事も前向きに「Do」し続けることしか未来を切り開くことはできないのだ。

地方集落の高齢化と世帯減少は、今後ますます進んでいきます。こうした変化にどのような姿勢で向き合っていくのか。地方にあるコワーキングスペースとしてUNDERBARでも模索を続けていきます。

■writer's profile

Yuki Nakamura

Yuki Nakamura

中村 雄季

埼玉県出身。大学を卒業後都内大手デジタルマーケティングエージェンシーでWEBディレクターとして勤務。2013年、自然に寄り添ったライフスタイル・社会経済の構築を実践するため山形県庄内地方へ移住。現在農家として遊佐町で70aの砂丘畑の耕作、及びFUN MORE DESIGNとしてWEBサイト構築・編集・ライティング等に従事。  http://funmoredesign.com  Instagram

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